はじめに──悩める50代
就職氷河期世代を生きてきた私たちは景気や制度の波に振り回されながらも、その都度なんとか踏ん張って生活を守ってきましたよね。
50代に入ると、老後資金だけでなく、親の通院や介護、子どもの進路、家の修繕、そして自分の体力や健康まで、課題が一変にのしかかってきます。
私は、これらを根性で乗り切るより「段取り」が大切と考えます。

今回の記事では、家計を守る順番、制度(節税)を使う順番、引退後の暮らしなどを現実に合う形で整理したいと思います。
今回は各項目での深掘りはせず、要点だけを押さえて解説いたします。
全部出来なくても大丈夫です。今日ひとつ整えられたら、それで一歩前進ですよ───
私たちの悩みは「同時多発」

最近、予定が増えすぎて「何から片づければいいんだろう…」と立ち止まることが増えてきました。
この世代がしんどいのは、いろいろなことが同じ時期に重なるところだと思います。
仕事の立ち位置が変わる頃に親の通院が増え、家の修繕も気になり始める。子どもの学費もまだ終わらないなど───
私たちの世代は、ライフイベントが一段落したようで、実はこのようなが悩みが影に潜んでいるのです。
同世代あるある
- 役職定年の話が現実味を帯びてくる
- 親の通院が増えて予定も気力も削られる
- 子どもが独立しそうでなかなかしない
- 回復が遅い(疲労など)と感じる
私はこれらをいきなり解決しようとせず、まず整理から入ります。紙でもスマホでもいいので3行だけ書いてみます。
- 今いちばん“不安”なこと
- 今いちばん“守りたい”こと
- 今年“やめたい”こと
これらを整理すると、自分の生活の手順(優先順位)として落とし込めるので、まずは散らかった頭の中を外に出すところから始めましょう。
“増やす”より先に家計の支出を減らす

50代からの資産形成で辛いのは、修繕費、医療費、介護費用などの突発的な支出が現実になることです。
だから先に“折れない家計簿”を作る!
これが遠回りに見えて、実は一番の近道なんです。
固定費は「3つだけ」見直す
全部やろうとすると疲れるので、今月は3つだけ見直します。
- 通信費〜格安SIMに変更、不要なオプションやプランの整理
- 保険〜目的別に見て本当に必要かを考える
- サブスク〜数ヶ月使用していないものは解約
この3つを実行するだけで月1万円ほどの余白が生まれます。
保険は「不安」を分解すると整いやすい
保険は不安の受け皿になりがちです。だからこそ、目的別に分けると判断がラクになります!
- 自分が亡くなった時の保障(家族の生活費)
- 医療(入院・通院)
- 働けない時(就業不能)
- 貯蓄(これは保険でなくてもよい)
たとえば、教育費や住宅が残る家庭は、期間限定(子供が成人するまでなど)で収入保障保険に入り、医療費は貯金で賄えるなら保険は不要など───
私もそうでしたが、必要のない保険料を何年も払っているケースはよくあります。
自分の家族構成やライフスタイルに合わせて本当に必要かどうかを考え直してみましょう。
生活防衛資金は“金額”より“期間”
生活防衛資金は、いくら必要か…より「何かあっても何か月暮らせる」で決めると迷いが減ります。
目安としては、会社員で生活費の3〜6か月分、自営業者、就業が不安定な方は6〜12か月分ほど貯蓄があればとりあえず安心です。
そして───
- 生活口座(毎月動く)
- 守り口座(基本触らない)
- 育てる口座(NISA等)
できればこれらの口座は分けましょう。特に守りのお金は、生活口座と混ぜると溶けやすいからです。
借入は“金利が高い順”で点検
住宅ローンは別として、リボ払いやカードローン・高金利の分割払いがあるなら、これらを優先的に整えます。
ここを放置すると、いくら節税や運用などに力を入れてもその効果は相殺されやすいです。
ここを一段軽くするだけで家計が少しずつラクになっていきます。
節税は“裏技”より「習慣」が大事

節税というと難しく聞こえますが、私たちに必要なのは派手なテクニックより、毎年「自動的に回る仕組み」を作ることです。
忙しい世代ほど複雑なことは続きません。順番を固定して迷う回数を減らします。
迷ったらこの順番で十分
団塊ジュニア世代には、親・子・住宅など“近い将来の支出”が待ち構えています。
まずは、支出を減らして生活防衛資金を貯めます。そのあとNISA制度を利用して、無理なく老後資金を作っていきます。
iDeCoは老後に強い制度ですが、60歳までの資金拘束等があるためここでは不要です。
- 支出を減らす
- 生活防衛資金を貯める
- ふるさと納税・各種控除を活用する
- NISAで運用
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“全部やる”より“漏れを防ぐ”
節税というと、何か特別なことをしなければいけないように感じますが、50代からは考え方を少し変えたほうがラクに進みます。
年末は忙しいですし、体力や気力にも余裕がなくなりがちです。「新しく頑張る」よりも、「出し忘れを防ぐ」だけで十分だと考えてみてください。
ふるさと納税
すでにやっている人は、今年の上限額を一度確認しておきましょう。
ふるさと納税の期限はその年の12月までですが、年末は何かと忙しいので忘れてしまいがちです。
その結果、自分が寄付をできる枠を使いきれず結果損をしてしまうことになるので、できれば11月までに概算を出しておくと安心です。
また、ワンストップ特例を使うのか、確定申告をするのかも、毎年同じ方法に決めてしまうと迷いません。
「医療費控除」を申請すると、ワンストップ特例制度は使えなくなります。つまり、確定申告しなければふるさと納税の恩恵を受けることができません。
保険関係
生命保険や地震保険に入っている方は、10月から11月頃に「控除証明書」が届いているかを確認します。
毎年この「控除証明書」を探してしまう人は置き場所を決めてしまいます。iDeCoを利用している方も掛金の証明書があるかを確認しておきましょう。
医療費
通院が多かった年は、医療費制度も積極的に活用します。こちらは自分だけでなく、家族分も合算できます。
病院や調剤薬局で支払った際の領収書、ドラッグストアで購入した薬のレシートも捨てないで保管しておきましょう。
50代の節税は「完璧」より「続く形」
50代からの節税で大切なのは、完璧を目指さないことです。
すべてを理解しようとしなくて大丈夫ですし、全部をやる必要もありません。自分に当てはまるところを一つ確認できれば合格です。
節税は、知識の多さより「散らからない形」が決め手になります。
書類の置き場所を決める、判断する回数を減らす、年末に確認する流れを作る───
これだけで、毎年の年末が少しラクになりますよ。

老後は「暮らしの型」を決めると不安が軽くなる

老後不安の正体は、「いくら必要?」より「どんな暮らしになる?」が見えないことだったりします。
先に型を決めると、必要額も、働き方も、投資の取り方も自然に整ってきます。
- できるだけ長く働く(年金繰下げ視野)
- 65歳までしっかりフルタイムで働く
- 早めに仕事量を落として、支出も小さくする
- 60代の労働は最小限、資産と年金メインで生活
など───
正解は人それぞれですが、「自分はどんな暮らしをしたいか」を先に決めておくと、これからのライフプランが立てやすくなり、働き方や住まい、お金の使い方もその方向に合わせると迷いが減ります。
年金の繰上げ・繰下げの計算は大事です。しかし、私たち世代は親の介護や自分の体調など予定どおりにいかないことが起こるはずです。
私たちはまず、「生活が崩れない形」を優先しなければなりません。
まず家計の土台を整えて、無理のない状態を作る── その上で受け取り方を検討する。
この順番を逆にしないほうが安心です。
状況が違っても“段取り”は似ている

最後に、よくある3パターンで当てはめてみます。
| ケース | よくある不安 | 段取り(やる順番) | コツ(続ける工夫) |
|---|---|---|---|
| 単身(独身・実質ひとり家計) | 体調を崩すと収入が止まりやすい | ①守り口座を厚めにする ②固定費を見直して余白を作る ③NISAは自動で継続 ④iDeCoは防衛資金ができてから | 判断回数を減らす仕組みが最強。月5,000円でも「続く形」を優先。単身は続けやすい強みがあるので、仕組み化が特に効く |
| 共働き(子どもあり) | 教育費と老後が重なる/家計が複雑化しやすい | ①生活・守り・育てるの役割分担 ②NISAは夫婦それぞれ少額でも積立 ③iDeCoは入れすぎない ④年末に控除の点検 | 忙しいほど自動化が勝つ。口座を増やしすぎない。夫婦で「どの口座が何の役割か」を共有する |
| 親の介護が見えている/始まっている | 時間と現金が同時に減る/急な出費が起こる | ①キャッシュフローの見直し ②医療費明細の置き場を固定、控除をフルに活用 ③NISA、現金の柔軟性を優先 ④iDeCoは老後専用として慎重に | 自分の健康を“家計の柱”として考える。感情と実務を分ける。介護保険や地域のサービスを活用する。 |
単身でも、共働きでも、親の介護があっても、うまく回っている人たちを見ていると、やっていることは同じです。
ポイントは次の下の3つです!
まず「守る」を先にする
最初にやっているのは、増やすことではなく守ることです。
- 固定費を把握する
- 生活費が困らない仕組みを作る
- いざという時の現金(防衛資金)を確保する
これらは──
- 単身 → 体調を崩した時の備え
- 共働き → 教育費や収入変動への備え
- 親の介護 → 急な出費や時間減少への備え
どのケースでも共通していますよね。
判断する回数を減らす
状況が大変なときほど、考えることを減らすことが大切です。
- 積立は自動化する
- 口座の役割を決める
- 年末の確認を「型」にする
単身でも、共働きでも、介護中でも、
「どうする?」を毎回考えない(思い出さない)仕組みがある人は、疲れにくいです。
完璧を目指さない
3つのケースすべてに共通するポイントは───
- 全部やらない
- 分からないところは後回し
- 当てはまる部分だけ整える
単身は「全部自分でやらなきゃ」と思いがちですし、共働きは「夫婦で完璧に共有しなきゃ」となりがち、介護中は「自分が頑張らなきゃ」と背負いがちになります。
長く続けるためには、肩の力を抜いて、無理をしないことが、50代からの整える暮らしの共通点だと感じています。

最後に──
就職氷河期を経験した団塊ジュニアの私たちは、頑張っても報われない場面を何度も経験してきた世代です。
だからこそ、将来の話を聞くと、どこかで身構えてしまうこともありますよね…。
それでも、これから先の暮らしは、運や勢いよりも「段取り」がものを言う場面が増えていきます。
今回ご紹介した「固定費を一つ見直す」「守り用の口座を分ける」「自動積立を始めてみる」「節税対策をする」などは、どれも地味ですが、積み重なると確実に効いてくるポイントです。

私自身も、すべてができているわけではありません。完璧を目指すのではなく、できるところから一緒に整えていけたらと思っています。。
最後までお読みいただきましてありがとうございました───

