新NISAで十分?iDeCoを考えるべき人・必要がない人|資金拘束と所得控除のしくみ

目次

はじめに──新NISAの非課税枠拡大の意味

2024年から新NISAは、つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円で年間最大360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円まで広がりました。

さらに非課税期間は無期限、途中売却しても、その分の枠が翌年以降に復活というおまけ付きです!

この神改正のおかげで、「資産形成の優先順位」が大きく変わりました───。

こうなると「iDeCoはもう必要ないのでは…?」と感じるのも当然ですよね。

iDeCoは原則60歳まで引き出すことができず、運用益非課税のはずが、受け取り方によっては課税が発生してしまいます。

この記事では、制度の優劣は断定せず、暮らしに合う“順番”を整える視点で、iDeCoが向く人・向かない人を整理していきます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは:老後資金を自分で積み立てて運用し、原則60歳以降に受け取る年金制度です。掛金は全額が所得控除の対象になり、運用益も非課税で再投資されます。受け取りは一時金・年金・併用から選べます。原則60歳まで引き出すことができません。

(この記事は2025年12月時点の情報をもとに作成しております)


新NISAとiDeCoの違いが一目で分かる比較表

新NISA vs iDeCo(ざっくり比較)

比較ポイント新NISAiDeCo
主なメリット運用益が非課税。枠が大きく、柔軟に売却・再利用できる掛金が全額所得控除+運用益非課税(節税の“即効性”がある)
年間上限年360万円(つみたて120+成長240)加入区分で上限が異なる(ざっくり会社員23000円、自営業者68000円)
非課税の枠生涯1,800万円(最短で360万×5年)口座内運用益が非課税
途中売却可能。翌年枠が復活原則不可(60歳まで資金拘束)
お金の使い道との相性教育費・住宅・転職など、途中で使う可能性がある人と相性良い老後資金を“開かない箱”で守りたい人に向く
受け取り時の税非課税(運用益)受け取り方で扱いが変わる(設計が必要)

新NISAの拡大で「資産形成の優先順位」が変わった?

新NISAで資産形成の優先順位が変わったのは、投資できる枠が増えただけでなく、制度そのものがより使いやすくなったからなんです。

非課税で運用できる金額が大きくなり、非課税期間も無期限(旧つみたてNISAは最長20年)になったことで、まずは新NISAで積み立てを続けるだけでも、老後の資金づくりの土台を作りやすくなりました。

さらに新NISAは、必要なときに売却して現金化でき、売った分の枠も翌年以降に復活します!

教育費や住まい、転職など出費のタイミングが読みにくい人ほど、この「調整できる」仕組みは安心につながります。

一方でiDeCoは節税メリットがある反面、原則60歳まで引き出せません。

初心者の方は、まず生活防衛資金をしっかり確保し、新NISAで無理なく続けられる金額から始めるのがベストです。

余力が出て「税金も整えたい」と思えたら、iDeCoを少額から検討する——この順番がいちばん分かりやすく、続けやすい考え方だと思います。


枠のイメージを“視覚化”する図解

新NISAは「出し入れの調整」がしやすい!(枠の再利用のイメージ)

新NISAは「売却=枠が戻る」仕組み(再利用のイメージ)
※ポイントは「売った金額」ではなく、売却した商品の取得金額分が翌年以降に復活することです。
※枠が“増える”のではなく、使った枠が“戻る”イメージ(総枠1,800万円を超えて増えるわけではありません)
1.買う
取得金額分=
枠を使うイメージ
2.保有・運用
値上がり/値下がり
しながら保有
3.売る
必要なときに売却して
現金化できる
4.翌年以降に枠が復活
売却した商品の
取得金額分が
投資枠として戻る
使いどころ:教育費や住まいの出費など、家計の変化に合わせて「組み直し」しやすいのが新NISAの強みです。

新NISAは、必要なときに売却しても「枠が消えて終わり」ではありません。

売却した分の取得金額が、翌年以降に投資枠として戻るため、家計の変化に合わせて組み立て直しやすい制度なんですね。


iDeCoのメリットは“運用”より「所得控除」

iDeCoの一番分かりやすいメリットは、運用益が非課税になることよりも、毎月の掛金が「所得控除」になる点です。

積み立てた分だけ税金の計算対象(課税所得)が減るので、結果として今の税負担が軽くなります。

ただし、先ほどお話しした通り、iDeCoは原則60歳までは引き出すことができません。

節税だけを理由に掛金を大きくすると、使えるお金が減って家計が窮屈になることもあります。

途中でiDeCoの掛金を変更することは可能です。

まずは、生活防衛資金を貯めてから新NISAで土台を作り、まだ余力があって「税金も少し整えたい」と感じたら、iDeCoを少額から試す───

この順番にしておくと、初心者でも無理なく始められます。

節税の目安 ≒ 年間掛金 ×(所得税率+住民税率)

例として、税率合計を20%と仮定すると…

毎月の掛金年間掛金税率合計(目安)年間の税負担軽減(概算)
1万円12万円20%約2.4万円
2万円24万円20%約4.8万円
3万円36万円20%約7.2万円
※実際は年収・控除・住民税などで変動します

「掛金が同じなら、税率が高い人ほど効きやすい」というのもポイントです!


iDeCoのデメリットは60歳までの拘束と「出口の難しさ」

iDeCoの受け取り時期は、原則として60歳から75歳までの間で選べます。

受け取り方も、まとめて受け取る「一時金」、分けて受け取る「年金」、その両方を組み合わせる「併用」の3つがあります。

受け取り方や他の収入状況によって税負担が変わるため、あらかじめ「どう受け取るか(出口戦略)」もしっかり意識しておくことが大切ですね。

受け取り方を間違ってしまうと、今まで控除されていた税金を収めることになるので注意が必要です!


受け取り方の全体像(出口設計の地図)

iDeCoの受け取り方

iDeCoの受け取り方(出口の地図)
※iDeCoは原則、60歳〜75歳の間で受給開始時期を選べます。
※受け取り方で税の扱いが変わるため、「入口(掛金)」だけでなく「出口(受け取り)」も一緒に考えると安心です。
受給開始(60歳〜75歳の間で選ぶ)
「いつ受け取りを始めるか」を決めます。退職時期や他の収入(退職金・年金)との兼ね合いで、無理のないタイミングを考えます。
一時金(まとめて受け取る)
受け取る金額が一度に確定。
退職所得として扱われることが多く、控除の枠に収まるかで税負担が変わります。
向きやすい例:退職金が少なめ/資金の使い道が決まっている
年金(分けて受け取る)
毎年(または定期的に)受け取る形。
雑所得(公的年金等控除の対象)として扱われ、他の年金収入とのバランスがポイントになります。
向きやすい例:老後の生活費を“定期収入”として補いたい
併用(一部を一時金+残りを年金)
「まとまったお金」も「定期収入」も欲しい人向け。
税の扱いが分かれるため、負担をならす設計がしやすい選択肢です。
向きやすい例:退職金・年金・生活費のバランスを取りたい
ひとこと:iDeCoは「節税があるからやる」だけだと、受け取りで迷いがちです。
まずは“いつ・どう受け取ると安心か”を軽く想像しておくと、判断がぐっと穏やかになります。

新NISAだけでよい人(iDeCoを急がなくてよいケース)

次のような方は、iDeCoを急がず新NISA中心で整えるほうが相性が良いことが多いです。

  • 生活防衛資金(急な出費に備える現金)がまだ薄い
  • 教育費や住まいなど、10年以内に大きな支出が見えている
  • 収入が変動しやすい(転職、独立、家族の事情)
  • 「60歳まで引き出せない」がストレスになりそう
  • まずは投資を習慣化したい(続けやすさ優先)

新NISAは、枠を使い切ることを目標にするよりも、暮らしに負担のない金額でコツコツ続けられる箱として活用します。


“整える順番”の図解

迷ったときの優先順位(暮らしを整える順番)

迷ったときの優先順位
※「得かどうか」よりも、家計が無理なく続く順番で考えると判断がぶれにくくなります。
※生活防衛資金が薄い状態で“触れないお金”を増やしすぎないのがポイントです。
1
生活防衛資金(まずは現金の安心)
急な出費(家電・車検・医療・冠婚葬祭)に備えて、家計の土台を作ります。
ここが薄いと、投資の継続が苦しくなりやすいです。
目安:生活費の数か月分など、家庭の状況に合わせて貯める
2
新NISA(つみたて投資枠:習慣化の土台)
まずは“続く金額”で積み立てを回すことが最優先。
金額よりも、暮らしに無理がないことを大切にします。
小さく始める。慣れたら増やすでOK!
3
新NISA(成長投資枠:余力の上乗せ)
余力が出てきたら、目的(老後・教育・資産の厚み)に合わせて上乗せ。
“枠を埋める”より、家計が静かに回ることを優先します。
必要なときに売却できる柔軟さも、新NISAの安心材料です。
4
iDeCo(必要なら少額から)
所得控除が効く人は検討の価値あり。
ただし原則60歳まで引き出せないため、「出口(受け取り)」もセットで考えると安心です。
迷ったら:最小額で試す → 家計が苦しくないか確認
まとめ:新NISAが広がった今は、iDeCoを“先に”決めなくても大丈夫。
まずは土台を整え、余力が見えてからiDeCoを足すと、暮らしがブレにくくなります。

iDeCoは、原則として途中で解約できない制度なので、始める前にしっかり家計と相談しましょう!


それでもiDeCoが必要な人は?

一方で、次の条件に当てはまる方には、iDeCoが今でも有力です。

  • 所得税率が高めで、所得控除のメリットが大きい
  • 退職金や受給時期の見通しが立ち、出口設計がしやすい
  • つい使ってしまう性格のため「引き出せない仕組み」をつくる
  • 新NISAを優先してもなお余力がある
  • 老後資金を“別枠”で守りたい

iDeCoは「増やす口座」というより、「老後資金を守る箱」、そして「家計の税負担を整える道具」として捉えると、位置づけが分かりやすくなります。


2026年以降に重要度が増した“受け取りタイミング”の図

退職所得控除の“間隔ルール”のイメージ(2026年1月以降)

iDeCo一時金と退職金の「間隔」を意識する(2026年以降のイメージ)
※iDeCo(企業型DCを含む)を一時金で受け取る場合、退職所得控除の扱いは「受け取りの順番・間隔」で結果が変わることがあります。
※2026年1月以降は、確定拠出年金等の一時金と退職金の間隔に関する扱いが10年を基準に整理されます(制度の細部は個別確認が安心です)。
A
間隔が短いケース(注意が必要になりやすい)
例:60歳
iDeCo/DC 一時金
例:65歳
会社の退職金
10年以内に続けて一時金を受け取ると、退職所得控除の使い方に影響が出る可能性があります。
退職金が大きい方ほど、出口設計(受け取り方・受け取る時期)を先に確認しておくと安心です。
こんなとき:退職時期が決まっている/退職金が多め/iDeCoを一時金で受け取りたい
B
間隔を空ける/受け取り方を分けるケース(調整しやすい)
例:60歳
iDeCo/DC 年金
例:60歳
一部だけ一時金
例:70歳以降
会社の退職金
受け取り方を年金や併用にすると、税の扱いを分散できる場合があります。
退職金の受け取り時期は会社規程に左右されるため、現実的には「出口の選択肢を知っておく」だけでも効果があります。
こんなとき:退職金とiDeCoを同じ年に重ねたくない/手取りの波を抑えたい
ポイント
・退職金の有無と、おおまかな受給時期(会社規程)
・iDeCoを一時金/年金/併用のどれで受け取りたいか
・一時金が重なる可能性があるなら、間隔(年数)を意識する
※本図は「考え方の整理」のためのイメージです。税務の最終判断は、勤務先の規程や受給予定額、他の所得状況で変わります。

要するに───

  • iDeCo一時金と退職金は、受け取る間隔が10年以内かどうかで税の結果が変わる
  • 間隔が短いと、退職所得控除を十分に使えない可能性がある
  • 年金受給や併用など、出口の選択肢を知っておくこと自体が対策になる
  • 制度の細部は個別条件で変わるため、最終判断前の確認が安心

と、いうことです…。

自分の退職時期・退職金・生活リズムに無理のない受け取り方を選ぶことが大切です。

まとめ───

新NISAの拡大で、“iDeCoをやらなきゃ”と感じる場面は、以前より少なくなりました。

とくに子育て中のご家庭や、出費のタイミングが読みづらい暮らしでは、60歳まで動かせないお金を増やしすぎると、日々の余白が小さくなってしまうことがあります。

ただ、iDeCoには掛金が所得控除になるという、今も変わらない強みがあります。

大切なのは「NISAかiDeCoか、どちらが正解か」を決めることではなく、あなたの家計が無理なく回る“順番”を選ぶことだと思います。

迷ったときは、まず生活防衛資金を整えてから、新NISAで「長く続けられる金額」をコツコツ積み立ててみてください。

土台ができて、まだ余力があると感じたら、iDeCoを少額で足す───

合言葉は、「今日1つ決めて、淡々と増やす」です!

最後までお読みいただきましてありがとうございました〜🎵

参考HP:金融庁HP iDeCo公式サイト 投資信託協会

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